竜泉と樋口一葉

旧下谷竜泉寺町

○大音寺 台東区竜泉1-21-17

 江戸時代後期に、大音寺前に、田川屋・駐春亭という料理店がありました。

 永井荷風「里の今昔」によると、現在の国際通りに面した東向きの大音寺の門は、以前は別の所にあって向きも北向きだったとおぼろな記憶を語っています。

「里の今昔」永井荷風
「大音寺の門は現在電車通りに石の柱の立つてゐる処ではなくして、別の処に在つて其向きも亦ちがつてゐたやうである。
 現在の門は東向きであるが、昔は北に向ひ、道端からずつと奥深い処に在つたやうに思はれるが、然しこの記憶も今は甚だおぼろである。」

 永井荷風の説明に従うと、大音寺の門は北に向かい道橋からずっと奥深いところにあったということですから、江戸切絵図で確認すると、茶屋町通りが門前ですね。
 田川屋・駐春亭は、大音寺の門前、茶屋町通りにあったと推測できます。
 茶屋町通りは1本道で、新吉原のお歯黒どぶに行き当たります。

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○田川屋

 田川屋・駐春亭は、下谷竜泉寺町の大音寺門前にあった鷺料理の店です。浴室の設備を備えていました。
 吉原の茶屋は仕出しを注文することが多く、八百善とともに大いに繁盛したようです。
 鷺は草食ではなく動物食です。美味しいのかどうかわかりませんが川柳に鷺が出てきます。
 「泥水のかへり田川の鷺で飲み」
 「青鷺の首をくくるは意気な茶屋」
 「花落の袖青鷺の口へ入れ」


「江戸高名会亭尽 大をんし前」(広重)

 国立国会図書館所蔵の広重の浮世絵ですが、右上を拡大すると「田川や」と記されています。有名店だったわけです。

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「江戸名所百人美女 大音寺まへ」(豊国・国久)

 こま絵にある茅葺の平屋が田川屋でしょうか。つけ毛をする遊女が描かれています。

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○旧竜泉寺町

(説明板)
「旧町名由来案内
 下町まちしるべ
 旧 竜泉寺町
 本町名は、古刹「竜泉寺」にちなんで付けられた。「竜泉寺」の創建は大変古く、慶長から元和の頃(一五九六〜一六二三)にさかのぼる。そのためこの付近一帯は早くから竜泉寺村と呼ばれていた。そして延宝七年(一六七九)の頃、吉原から金杉へ抜ける道筋に民家が建ち始め、町並みができた。そこは竜泉寺村の内であったが、いつしか竜泉寺町と呼ぶようになった。
 明治二年(一八六九)竜泉寺町は下谷竜泉寺町と改称した。その後、同二十四年には竜泉寺村、千束村および三ノ輪村の一部を合わせ町域を広げるとともに下谷竜泉寺町となった。そして明治四十四年に下谷を略し再び竜泉寺町となった。
 明治文壇の女流作家樋口一葉は、明治二十六年七月からこの地に住んだ。僅か十箇月だったが、ここでの生活があってこそ一葉文学が生まれたといえる一葉ゆかりの地である。
  台東区」

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○樋口一葉旧居跡 台東区竜泉3-15

「鶉なく聲もきこえて花すゝきまねく野末の夕べさびしも」

(説明板)
「樋口一葉旧居跡
 樋口一葉は明治二十六年七月二十日、本郷菊坂町より下谷竜泉寺町三百六十八番地に移り住み、この界隈を背景にして不朽の名作「たけくらべ」や「わかれ道」の題材を得た。この碑の位置は、一葉宅の左隣り酒屋の跡にて、一葉と同番地の西端に近く碑より東方六メートルが旧居跡に当る。
 なお一葉はこの辺りを
「鶉なく聲もきこえて花すゝき
  まねく野末の夕べさみしも」
と和歌に詠んでいる。
  昭和五十一年十一月二十三日(一葉没後八十年)
    台東区教育委員会」

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○一葉記念館 台東区竜泉3-18-4

 樋口一葉の命日である11月23日は、「一葉祭」が催され、無料公開されます。

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○龍泉寺 台東区竜泉2-17−15
 門と通用口は閉ざされ、中に入れません。

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○千束稲荷神社 台東区竜泉2-19-3

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<樋口一葉胸像/塵中日記>

 正面の碑文には、「塵中日記」の一節が自筆で刻まれています。
「明日ハ鎮守なる千束神社ノ大祭ナリ今歳は殊ににぎはしく山車などをも引出るとて人々さわぐ 樋口夏」
「樋口一葉「塵中日記」明治二十六年八月十九日
 一葉の自筆(樋口陽氏所蔵)」

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