将軍の暮らしと大奥

○将軍の暮らしと大奥

 楊洲周延周延は、江戸時代には描けなかった幕府の行事や大奥を描いており、「千代田之御表」や「千代田の大奥」の作品があります。(リンクは国立国会図書館デジタルコレクション)

【千代田之御表】
「千代田之御表 将軍宣下」(楊洲周延 明治30年)

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「千代田之御表 浜御成」(楊洲周延 明治30年)

 将軍が浜御殿へ出かけて、釣りをしているところです。釣り好きと伝承されているのは吉宗だけなので、こちらの将軍は八代将軍吉宗らしいです。

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「千代田之御表 打毬上覧」(楊洲周延 明治30年)

 打毬試合の将軍上覧が描かれています。中央の衝立に丸い穴が開いた毬門が見えます。
 宮内庁主馬班が江戸時代の様式の打毬を保存しています。「打毬(だきゅう)について」(宮内庁)

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 「打毬合戦双六」(一登斎芳綱)

  打毬は双六にもなっています。

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「千代田之御表 鶴御成」(楊洲周延 明治30年)

 将軍が放った鷹と鷹匠が鶴を捕えている光景が描かれています。
 (三河島の鶴御成について、こちらで記載

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【千代田之大奥】
「千代田大奥 御花見」(楊洲周延周延 明治27年)

 江戸城の吹上庭園での御花見です。

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「千代田の大奥 花菖蒲」(楊洲周延 明治29年)

 大奥での花菖蒲の観賞が描かれています。現在も、二の丸庭園で一般観覧可能です。

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「千代田之大奥 ほたる」(楊洲周延 明治29年)

 音無川のホタルは、良い光を放つということで、大奥ではこれを取り寄せていました。

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「千代田之大奥 入浴」(楊洲周延 明治28年)

 御台所の入浴は朝で、大奥の湯殿に湯船はなく、かけ湯だけです。 湯上りの御台所が浴衣姿で手ぬぐいかけの脇で涼んでいます。 汗は浴衣に吸わせ、何度か着替えを行ったそうです。

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<団扇車>

 扇風機!が描かれています。「団扇車(うちわぐるま)」と呼ばれました。ハートマークの団扇が6枚ついた手回し扇風機を女中が回して、湯あがりの御台所に風を送っています。女中の着物は朝顔の絵柄で涼しそうですが、六角形の歯車についた棒で回しにくそう。

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「千代田之大奥 節分」(楊洲周延 明治29年)

 大奥では、節分に「御留守居役」が豆をまきました。御留守居役は、大奥の各部屋で「福は内」と唱え三度豆をまきます。御台所の年齢にひとつ加えた数の豆を白紙に包み、御台所の御前にささげました。女中が持っている三方の上に白紙に包まれた豆が見え、これから御台所のところへ持っていくようです。

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 豆まき役の御留守居役は、豆で「万万歳」の三文字を畳の上に書いてお祝いします。最後に御留守居役は、女中たちに布団でグルグル巻にされ、祝い唄を歌われながら三度胴上げされます。

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江戸の暮らし 路上の商売〜棒手振り/振売り

 江戸の暮らし 路上の商売〜棒手振り/振売り

 ○ 江戸年中風俗之絵
 ○ 世渡風俗図会
 ○ 近世流行商人狂哥絵図
 ○ 職人尽絵詞

○「江戸年中風俗之絵」(橋本養邦)

 江戸年中風俗之絵に、天秤棒に荷をかついで売り歩く行商人「棒手振り(ぼてふり)」「振売り(ふりうり)」が多々掲載されています。種々様々な品が移動販売されていたことがうかがえます。

 (目次の一部)
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「魚売り」
 客の注文に応じて、桶の上に俎板を置いて、その場で魚をさばいています。

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「魚売り」(東都歳事記)
 こちらは東都歳事記に描かれた魚売りですが、前の桶に俎板、後ろの桶に包丁が見えます。

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「朝顔売り」
 家の窓に直接朝顔を売っています。

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「植木屋(朝顔)」(日本之名勝 史伝編纂所 明治33(1900)年))
 明治時代の植木売り(朝顔)の写真です。

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「絵馬売り」
 江戸時代は、ストリートでも絵馬を売っていたのですね。奥では、飯屋が見えます。

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「せともの売り」

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「豆腐売り」
 ラッパを吹きながらの販売です。

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「花売り」

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「鯉の手遊び売り」

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「稗蒔(ひえまき)売り」
 稗蒔は、水盤の中に稗を蒔いた箱庭。夏に観賞して涼をとります。 四角い板の上に置いて売り歩いています。

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「水売り」「団扇売り」

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「太鼓売り」

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「金魚売り」
 父親に買ってもらったのでしょう、子どもは糸に繋がれた亀を連れています。 後ろの籠にはカニかな?を売っています。

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「枇杷葉湯売り」
 売り手は扇子をもっています。

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「蝶々売り」
 蝶々売りは、目深にかぶった笠がそのスタイルでした。本物の蝶ではなく「蝶々のおもちゃ」を売っています。竹の先の糸に紙製の蝶々をつけ、棒を振って蝶々が飛んでいるように遊びます。

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「孑孑取(ぼうふらとり)」

 屋敷の塀に沿った堀で、「孑孑(ぼうふら)」を網ですくって、金魚の餌に売っていたのが「孑孑取」です。

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「屑や」
 目次に「屑や」とあります。行燈や傘、はては刀まで回収しています。

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「餅つき屋」
 出張「餅つき」をしていました。

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「植木屋」
 凧が木に絡まって、子どもが追いかけています。正月の光景なので、梅を運んでどこかに植えるのでしょう。新吉原の植梅ですかね。

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「鳥刺」

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「わいわい天王」と「榛田稲荷願人坊主」
移動中のようです。

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「悪魔払」
 目次に「悪魔払」とあります。大晦日や節分の夜に厄払いをして歩きました。もらった米を入れる頭陀袋(ずだふくろ)を担いでいます。

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「水菓子の舟」
 スイカとかイカとか船上で売っています。魚も焼いています。両国橋から飛び込む男、橋の上では、飲み過ぎでしょうか、男がうつ伏せになってゲロを吐いています。

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歌川広景の手にかかると水菓子の舟に落下します(こちら)。
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【移動屋台】

「心太(ところてん)売り」
 ところてん売りは、ところてんを宙に上げて皿で受ける曲芸を披露しています。

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「飴細工売り」
 水飴を丸めて葭の先につけ息で吹いて膨らませ、これを鳥などに成形し彩色します。

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「手遊び売り」
 手遊び(おもちゃ)を売っています。

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「簾売り」

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「虫売り」
 豪華な舟の虫籠も見えます。

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「虫の声」(日本之名勝 史伝編纂所 明治33(1900)年)
 明治時代の虫売りの写真です。

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「夜そば売り」
 提灯をもった客がそばをすすっています。

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「占い」
 天眼鏡で手想を見ています。

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「大道米搗屋(米つき)」
 店を構える米屋は「搗米屋」で、店を持たず路上で玄米を搗いて白米にするのが「大道米搗」です。後ろの箱で、搗いた米とヌカを分けて、桶には白米が出てきています。臼の中にある輪は、米をむらなく搗くためのもののようです。輪の有無で、米つきか餅つきかわかります。

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【店売り】

「鰻屋」
 「今日 うしの日」と張り紙が見えます。スッポンも一緒に売っています。

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「北斎漫画 鰻登り」
 箱看板「千客万来 大叶」が見えます。

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「荒物屋」
 何でも売っている荒物屋です。草鞋に箒を売っています。店先で金魚を売っています。軒端に金魚が入った金魚玉が吊るされています。板に飴が並び、団子も売っています。ひめのりも売っているようです。

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「筆屋」
 御筆墨の箱看板が見えます。筆を売っているのが一目瞭然です。

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「湯屋」
 高座(番台)の左手に男湯、右手に女湯が描かれています。

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「辻番」
 辻番も描かれています。

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○「世渡風俗図会」(清水晴風)

「市物賣(せんさいうり)」
 菜蔬売(せんさいうり)で、この男は大根だけを売っています。

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「筆売り」
 筆は店売りだけではなく移動販売も行っていたのですね。

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「五月の節句鯉の手遊び売」
 ミニ鯉のぼりの手遊び(おもちゃ)を売っています。

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「短冊売り」
 七夕の短冊まで売っています。

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「団扇売り」
 江戸の町民は、団扇売りから団扇を買いました。

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「蝶々売り」
 蝶々売りは、目深にかぶった笠がそのスタイルでした。本物の蝶ではなく「蝶々のおもちゃ」を売っています。竹の先の糸に紙製の蝶々をつけ、棒を振って蝶々が飛んでいるように遊びます。

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「貸本屋」
 貸本屋です。江戸の識字率の高さならではの商売です。

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「読売」
 世間の出来事を速報した瓦版を、内容を読み聞かせながら売り歩きました。描かれているのは2人とも紅をさしているので、女性のようです。

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「孑孑取(ぼうふらとり)」
 屋敷の塀に沿って堀があり、そこの「孑孑(ぼうふら)」を網ですくって、金魚の餌に売っていたのが「孑孑取」です。最初、畑に下肥をまいているところと勘違いしました。

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「馬糞浚(さら)ひ」
 内藤新宿は甲州街道筋で、馬糞が多く有名でした。馬は牛のように反芻しないので繊維分が多く、良い肥料として売れました。
明治時代は馬車鉄道の馬糞浚いがありました。

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「汚穢屋(おわいや)」
 肥桶を担いで糞尿の回収に回ったのが、汚穢屋(おわいや)です。

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「庚申代待(だいまち)」
 庚申の夜は徹夜しますが、それを代行します。青面金剛の幟を掲げています。

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「厄払い」
 大晦日や節分の夜に厄払いをして歩きました。もらった米を入れる頭陀袋(ずだふくろ)を担いでいます。

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「七ツ坊主」
 芝増上寺を出て江戸市中を毎夕七つ時から、拍子木を打ち、念仏を唱えて托鉢して歩きました。

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 (参考)「名所江戸百景 江戸百景餘興 芝神明増上寺」(広重)
      七ツ坊主部分の抜粋です。

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「飴売り」
 水飴を丸めて葭の先につけ息で吹いて膨らませ、これを鳥などに成形し彩色します。

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「元禄のはしめ頃の鏡磨」
 床にザクロの実が転がっています。

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○「近世流行商人狂哥絵図」(曲亭馬琴 天保6(1835)年)

 江戸時代の行商人と売り声が記されています。

「七色唐辛子売り」
 ハリボテの唐辛子を担いでいます。子どもの目を引けば親もやって来ます。

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「蝶々売り」
 蝶々売りは、目深にかぶった笠がそのスタイルでした。本物の蝶ではなく「蝶々のおもちゃ」を売っています。竹の先の糸に紙製の蝶々をつけ、棒を振って蝶々が飛んでいるように遊びます。

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「枇杷葉湯売り」
 売り手は団扇をもっています。

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「曲突心太売り」
 心太売りはところてんを宙に上げて皿で受ける曲芸を披露しています。

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「願人坊主」
 「榛田稲荷代垢離願人」が描かれています。榛田稲荷とは、現在の半田稲荷神社(葛飾区東金町)です。
 読みやすく現代用に置き換え
 「葛西金町
  半田の稲荷
  疱瘡も軽い
  麻疹も軽い
  大きな御利生
  素敵な御利生
  家内安全
  息災延命」

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○「職人尽絵詞」(鍬形蕙斎)

 100を超す当時の様々な職業や、職人の姿、風俗などが描かれています。

「節季候(せきぞろ)」
 節季候は、歳末に二〜三人組で「せきぞろござれや、ハァ、せきぞろめでたいめでたい」」とはやして家々を回り、遊芸をして米や銭を請いました。

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「江戸名所図会 四谷内藤新驛」
 江戸名所図会の四谷内藤新驛では、挿絵に「節季候の来てハ風雅を師走かな はせを」と記され とあり、挿絵に節季候が描かれています。

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「湯屋」
 湯屋の男湯の光景です。左手に高座(番台)、右手に洗い場と上がり湯が見えます。湯船は中央奥で、板戸の下をかがんで入ります。ここを石榴口(ざくろぐち)と呼びます。銅製の鏡をザクロの実の汁でみがいたことから、「鏡要る」と「屈み入る」をかけての洒落です。

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<湯くみ>
 石榴口の右手で、客に柄杓で湯んで差し出しているのが「湯くみ」です。

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「楊枝屋」
 様々な職人が描かれている中、楊枝屋も掲載されています。房楊枝などが棚に陳列され、その上には絵入りの「酒中花」の看板が見えます。石臼が見えます。石臼でお歯黒に使う五倍子(ふしこ)を挽いて粉にして売ります。

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江戸時代の「盛夏」と「歳暮」

○盛夏

「盛夏路上の図」(東都歳事記)

 江戸時代は小氷河期で、現在よりも夏の平均気温は2〜3℃は低かったようです。
 富士山と大山が山開きした夏の光景で、富士参りか大山参りの講人が歩いています。路上で商売をしている者が多く描かれています。固有名詞の店名「大坂屋」「松本屋」が見える三差路のこの場所はどこでしょうかね。

【水菓子屋】
 通りの向こうでは、「水菓子屋」がスイカを切っています。桃と瓜も売っています。

【川魚料理店】
 右上には「利根川」と書かれた看板に「鯉」の文字が見えます。店の入り口は「松本屋」の屋号です。

【虫売り】
 その前の屋台には「虫いろいろ」の箱看板が見え、子どもが篭に関心を示しており、虫を売っています。

【天麩羅屋台】
 左下には「天麩羅の屋台」が出ています。

【按摩】
 前の道を、杖をつき笛を吹いて客を捜す「按摩」。

【定斎屋】
 薬売りの「定斎屋」が歩いています。

【わいわい天王】
 こちらに向かって天狗の面をつけた「わいわい天王」が歩いています。牛頭天王の紙牌をまき、拾った子の親に銭を乞い歩いた者です。

【冷水売り】
 天麩羅屋台の右には「冷水売り」です。

【ところてん売り】
 さらに右には男がところてんを食べていて店主がところてんを突いています。

【水撒き男】
 底に穴を空けた桶を担いで路上に水をまいている「水撒き男」が見えます。水を撒いて料金を取っています。さらに右手には、男が柄杓で水をまいています。

【大坂屋】
 大坂屋で子どもたちが格子の蓋のある箱をのぞきこんでいます。中には水生生物がいるのか、メダカや金魚が泳いでいるのか。

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「千住大橋綱曳」(東都歳事記)

 6月9日に行われた千住大橋の綱曳神事が描かれています。橋を挟んで北と南で曳き合いました。けんかが絶えず取り止めとなりました。

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○歳暮

「歳暮交加図」(東都歳事記)

 左手に「書肆」、右手に「江戸名所圖會二十冊出来」の看板の店は、東都歳事記版元の「須原屋茂兵衛」です。日本橋の通一丁目を描いていることになります。
 往来では餅つきをしています。「餅つき屋」は依頼を受けて商売として餅をついていました。松を馬で運んでいる人と担いでいる人の門松売りが見えます。大店には立派な門松が見えます。

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「江戸年中風俗之絵」(橋本養邦)

 歳暮部分を抜粋しています。煤払いの光景と、煤竹売りが見えます。餅つきをしているところや、門松売りが見えます。

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 左下部分の拡大です。「餅つき屋」は、火がついたまま!の竈を運んでいます。次から次へと出張「餅つき」をしていたことがわかります。

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「北斎漫画 餅ハ餅屋」(葛飾北斎)

 きねを持っている男は素人で、キセルをくわえて座っているのが餅屋なのでしょう。

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 歌川広景がこの画をパロッています。
「江戸名所道戯盡 三十六 浅草駒形堂」(歌川広景 東京都立図書館蔵)

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「十二月之内 師走餅つき」(三代豊国 安政1年)

 江戸庶民は賃餅といって菓子屋に餅を注文しましたが、武家や富裕な商家は家で餅をつきました。
 提灯や男性の半纏には、版元の蔦屋吉蔵(紅英堂)の富士に一つ星と蔦の葉の家標が見えます。蔦屋吉蔵は蔦屋重三郎の別家で錦絵等の大手版元です。
 左下にはおろし金と大根が見えます。大根おろしあえで餅を食べたのですね。

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「煤払い」(東都歳事記)

 12月13日に煤払いと呼ばれる大掃除が行なわれました。煤払いが終わると、胴上げが行われました。

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「豊国十二ケ月 十二月煤掃」(豊国)

 まだ畳が積み上げられたままですが、胴上げです。

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「千代田之大奥 御煤掃」(楊洲周延 明治28年)

 大奥でも煤払いが行われ、胴上げも行われています。

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歌川広重終焉の地

○歌川広重終焉の地 中央区京橋1-9-7 全国信用組合会館

 歌川広重は、嘉永2(1849)年から亡くなるまでのおよそ10年間をここにあった二階建の家屋で過ごしました。
 ビル建て替え前は説明板があったようですが、現在は、何もありません。

 広重の遺言には「住居を売り払って借金を返済すること」とあり、「死んでゆく 地ごくの沙汰はともかくも あとのしまつが 金しだいなれ」と締めくくっています。活躍していても借金を返せなかった広重でした。

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 「名所江戸百景 市中繁栄七夕祭」は、広重が住んでいた京橋の家からの眺めだろうと言われています。

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<広重の墓所>

 広重の墓所は、東岳寺(足立区伊興本町)にあります。こちらで記載
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七夕(しちせき)と井戸浚 /重陽の節句

○七夕(しちせき)(7月7日)

「名所江戸百景 市中繁栄七夕祭」(広重)

 広重が住んでいた京橋の家(こちらで記載)からの眺めだろうと言われています。物干し台に浴衣が干されています。高さを競っていた短冊竹が風にたなびいています。様々な飾りつけが翻っています。紙に描いた西瓜や鯛も見えます。

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「武城七夕」(東都歳事記)

 高さを競っていた短冊竹は、家々の屋根よりもはるかに高く、立ち並んでいます。「家々冷素麺を饗す。」とあり、七夕には素麺を食べる習慣が定着していたことがうかがえます。 挿絵には、三つの橋が見えます。手前から常盤橋、一石橋、呉服橋の光景です。

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「富嶽百景 七夕の不二」(葛飾北斎)

 短冊竹が物干し台に立てられています。

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「江戸年中風俗之絵」(橋本養邦)

 「江戸年中風俗之絵」(橋本養邦)から、七夕部分の抜粋です。スイカもぶら下がっています。

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「江戸風俗十二ヶ月之内 七月七夕筋違見附八辻」(楊洲周延 明治22(1889)年)

 筋違見附八辻における七夕の光景です。柳原堤の向こう側には、屋根の上より高く、赤い幟が多数ひらめいています。
 女性は日傘をさし、屋台では白玉水を売っています。暑さが伝わってきます。

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「江戸名所道戯尽 十三 鎧のわたし七夕祭」(歌川広景)

 鎧の渡しの七夕の光景です。七夕飾りをつけた竹が風に大きく揺れています。 風で筆の七夕飾り(習字の上達の願い)が渡し船の女性の股間に落ちています。

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「千代田之大奥 七夕」(楊洲周延 明治29年)

 大奥での七夕の風景です。短冊竹は江戸城よりも高くなんてことはなく、いたって普通の高さです。

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「五節句之内 文月」(暁翠 明治27年)

 明治の頃の七夕です。遠景に「十二カイ」と記載があり、浅草十二階が見えます。この頃も飾竹は屋根より高く描かれています。

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○井戸浚(7月7日)

 江戸市中の上水井戸は、神田上水や玉川上水が地下に引き込まれ繋がっており、七月七日に江戸中では一斉に井戸浚(いどさらえ/いどさらい)を行いました。七月七日は、祖先を迎える盂蘭盆の準備をする行事日で、「井戸浚」は、水による禊祓という面がありました。

「繪本世都之時 井戸浚」(北尾重政 国立国会図書館蔵)
 木に滑車を据えて、井戸水を汲みだしています。汲みだしたところで、井戸内の掃除です。滑車を据える木がない場合はどうする?北斎が答えています。
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「富獄百景 2編 井戸浚の不二」(北斎 国立国会図書館蔵)
 2つの梯子を組み合わせ、そこに丸太を固定し、滑車を取り付けています。
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○重陽の節句(菊の節句)(9月9日)

「豊歳五節句遊 重陽の節句」(歌川国貞)

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<染井植木の里>

 染井の観菊が賑わいました。こちらの中で記載「染井植木の里
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